㊳遺言による認知

 非嫡出子とは、婚姻関係の無い男女の間に生まれた子供の事を
言います。非嫡出子における母子関係は分娩の事実があれば認められます。
しかし、父親との関係は「父親の認知」が必要とされています。婚姻関係に
ある男女の間に生まれた子供は嫡出子と呼ばれます。婚姻後出産した子供が
離婚によって母と子供だけになっても嫡出子で有る事には変わりません。
よって離婚前の父親に対しては相続の権利があります。非嫡出子は父親の
認知が無ければ相続の権利がありません。

 婚姻外の女性に自分の子を産ませた男性は、自ら積極的に認知をして、
非嫡出子の父子関係を確定して子の権利を守るべきだと思います。
しかしながら、当人達にしか分からない複雑な事情がある場合もあり、直ちに
認知が出来ないケースがあるのも事実です。そのような場合には非嫡出子の
認知を遺言で出来るという規定があります。(民法781条2項)

 遺言で認知をして信頼できる人に託して、自分の死後に初めて家族に公表
してもらう事ができます。
 胎内にある子の認知も母の承諾があればできます。(民法781条2項、783条
1項)また死亡した子についても、その子に子供や孫等の直系卑属がある場合
には認知できます。(民法783条2項)ただし、その直系卑属が成年者である
ときは、その者からの承諾が必要です。